心に残る宮尾登美子作品たち
先日、NHKドラマで松たか子主演の「櫂」が放送されていました。
映画では十朱幸代さんだったらしいですが、私は松さんの喜和が好き
です。「陽暉楼」の池上季実子さんも色っぽくて素敵でした。
当時22歳とは思えません。歌舞伎のお家出身の女優さんだし、
清楚なアイドル女優からの華麗な転身というか、浅野温子さんとの
取っ組み合いのケンカのシーンなど本当に息を呑む演技でした。
結構きわどいシーンとか、今のアイドルっぽい女優さん達に
できるんだろうかと思います。
病院で待合の時間にこの記事を読んでいたのですが、牛窪恵さんが
「昔の貧しい家出身の女の人って、お金でモノのように売買されて
苦しい思いしていたけれども、お客の男性たちの前では華やかに
振る舞って、精一杯生きていた」と寄せていました。
確かに、宮尾先生はご実家が娼婦を紹介する業者をされていたので、
そのことをだいたいの生涯の作品のテーマにされていましたが、
その作品でもやはり辛い運命を背負いながらも、それに背かずに
生きていく姿勢がなんだか心打つんです。
泣いてもいいから頑張っているっていうのかな。
名取裕子さん主演の「序の舞」も良かったですよね。
上村松園の役で、師匠の竹内栖鳳が風間杜夫さんという美男美女の
師弟関係が男女関係になってしまうのですが、女性初の
文化勲章を受章して、一流画家になるまでの葛藤とか愛とかが
よく描かれていたし、女性がキャリアウーマンとして
一人で生きていくって今の時代よりはるかに大変だったろうと
思うと、あの素晴らしい作品の数々に立って目にする時
いいなぁ♡と思うと同時に、尊敬の気持ちが湧いてきます。
「鬼龍院花子の生涯」も夏目雅子さんきれいで、好きな彼が
死んでしまって、骨を少しでいいから分けて欲しいと彼の実家へ
喪服で行くシーン、追い返されそうになって、タンカを切る
「なめたらいかんぜよ!」というのも流行語になりましたっけ。
ヤ○ザの娘であることを嫌っていたのに、いざという時に
その育ちが出てしまうって因果でも辛いですよね。子供の時に養女に
なって、血の繋がらない父との愛憎の果てに父は抗争で亡くなり、
母は病死で独りぼっち、可哀相しかなかったけどお母さんの
あるお父さんだったのかな。
「寒椿」の南野陽子さんもとても頑張っていたし、アイドルを脱却して
女優という代表作になったと思います。かたせ莉乃さんが
定規を持って、踊りの稽古で南野さんを叩くシーンとか、
お店を切り盛りして、色気だけじゃなくて芸で売っているという
プライドなんかも意地があって素敵でした。
行為はよくありませんが、お店をただの女郎屋にはしたくない
というプライドがあっての行為だったと考えています。
(稽古済むまで水飲ませないなんて今の時代じゃ考えられませんよね。)
今、私たち世代が見る見ごたえのある日本映画とか
やっぱり差別とか表現のなんとかで作れないのかな。
製作費もセット作ったり衣装とかもお金かかるだろうし。
アニメも素晴らしいけど、こういう心揺さぶられる作品に
あいたいな~って思います。
(時代劇に限ったことではないのですが)
読んで下さってありがとうございました。