林真理子「女はいつも四十雀」~曽野綾子さんの話~
「雅子さま、運命をお楽しみください」
と雑誌で掲載された話が載っていた。
林さんはそれを作家である自分と重ね合わせて
ママ友との交わりを楽しくこなして
いる話があって、思いがけない運命に
曲がり角さえ楽しんでしまうと
いう林さんらしいユーモアを交えた
エッセイだった。
しかし私は思う。こんなことをサラっと
言ってしまえる曽野綾子さん!凄すぎます。
以前曽野さんのエッセイの中で、
「川の流れの中でも、ごみやひもを
ひっかけながらも凛として立っている
杭に私は魅かれる」と。
人も色々な運命、喜ばしいことだけでは
なく、目を背けたくなるような
苦しいこともあるのが人生。そして嬉しいことが
あったり、ささやかな幸せを喜んだり。
不遜だが、それは雅子さまだとしても
同じかもしれない。曽野さん風に言うなら
「神様がそれをお望みであった」と解釈し、
川の中でも頑張って、流されずに色々なものを
引き受けながらも立っている杭になぞらえて、
与えられた人生を、そして思いがけない運命を
引き受ける生き方のようなものを示唆していると
思いました。
思いがけない道であっても、
何がしかの場所へ誘ってくれるのが
人生の醍醐味かもしれない。
自分では100%望まない場所だったとしても、
思いがけない景色や出逢いを経験できるのも
人生という場所なのでしょうね。
曽野さんの言葉はいつもグサっと
刺さってじわじわと効いてきます。
カトリックの視点からの重みを感じます。
これが作家というもの。
林さんの本なのに曽野さんの話で
ファンの方ごめんなさい。
林さんは洒脱した軽やかな文体が
魅力ですよね。エッセイとか面白い。
読んで下さって、ありがとうございました。